元ギャンブル依存症の司会者、自らの経験から「そりゃあ無理がありすぎ。俺は信じない」水原氏の説明を疑問視
ドジャースの大谷翔平選手の水原一平通訳が、違法賭博に関与していたとしてチームを解雇された。20日(日本時間21日)、複数の米メディアが報じた。米連邦捜査局(FBI)の捜査により、大谷の口座から違法ブックメーカーへの資金流出が判明。大谷の弁護士の説明によると、大谷の口座から「巨額の窃盗」があり、スポーツ賭博で数億円規模の借金があった水原氏の関与が疑われている。
自身がギャンブル依存症に苦しんだ米FOXスポーツ1のクレイグ・カートン・ホストはトークショー番組「ザ・カールトン・ショー」で、水原氏が野球賭博に手を染めた危険性についてあらためて言及した。
「これが現実だ。根っからのギャンブル狂が負けに負け続け、崖っぷちに陥ると、『賭けで穴を埋めるしかない』と考える。じゃあ、何に賭けるか? 『内部の人間しか知らない情報を持っているものに賭けよう。そうだ、エンゼルス戦、ドジャース戦だ』となる。これは自然な流れだ。だって、借金が何百万ドルもあるのに『野球に賭けたことはありません。信じてください』って、そりゃあ無理がありすぎだろう。俺は信じないね。そういう人生を生きてきたから」
ある意味で説得力はある。というのも、元ギャンブル依存症だった同ホストは、約480万ドル(約7億2000万円)の借金返済でチケット販売詐欺を働き、2019年に3年6カ月の禁錮刑を命じられた。現在は「ハロー マイネームイズ・クレイグ」というネットラジオ番組でギャンブル依存症の人々の相談を受け、本人と周囲を激励する活動を続けている。
ちなみに、水原氏がつくった借金の総額は約450万ドル(約6億8000万円)とされる。
同ホストはさらに、米紙ニューヨーク・ポストで警告した。「大谷側は最初の話をひっくり返して『窃盗だ』と言ったことでパンドラの箱を開けた。いまや水原氏を心の底から信用しなきゃならなくなった。友人が犯罪捜査の中心対象になるわけだからな。容疑は詐欺・横領。多くの人が深掘りし、もっと多くのことが明らかになる」「この問題は、そう簡単に終わらないよ」
米誌ニューヨークも同ホストの指摘を受け、「水原氏が野球賭博に手を出した可能性があることを『斜めに見た臆測だ』と言うならば、それは大谷側の急展開の説明が招いた」と同意した。
水原氏自身はサッカーやNBA、NFL、大学アメフトに賭けたが、決して野球賭博は行わなかったと強調している。大リーグは関係者(球団職員や審判も含む)の野球賭博を厳しく禁じ、違反した場合は球界を永久追放処分。1979年に追放されたピート・ローズ氏はいまだ処分が解かれていない。ただし、野球以外のスポーツへの合法的な賭博は禁止されていない。他スポーツの『違法な』賭博に関与した場合、処分の軽重はコミッショナー(現在はロブ・マンフレッド氏)の判断に一任される。
水原氏は19日、米スポーツ専門局ESPNの一度目のインタビューで、「昨年に大谷に事情を話し、賭博の借金を返済してもらった」「2人で大谷のパソコンから大谷の口座にログインし、ブックメーカーに送金した。1回50万ドルを8~9回、数カ月にわたって送信した。最後の送信は10月だったと思う」と語った。
だが、翌20日に大谷の弁護士が「大谷翔平は巨額な窃盗の被害者であることが判明した」と発表すると、「前回のインタビューで自分はうそをついた。大谷は自分のギャンブルや借金、その返済について何も知らなかった」と前言を完全撤回。「『巨額な窃盗』についてはコメントしないように言われた。誰から言われたかについてもコメントできない」と語った。